メールマガジンでは、笑いのある哲学を目指します。
ぜひ、次の文章を読んでみて下さい。
サイボーグ009は携帯電話の夢を見るか −−未来は猥雑にやって来る
笑いは重要です。笑えた方が、元気が出ます。
一般に、笑いがあるものは論理的レベルが低いという間違った常識があります。
しかし、笑いがあるからと言って、論理的なレベルが低いとは限りません。
出来るだけ、笑える形で書いていきます。
例えば、次の文章をお読み下さい。
ノーベル賞が無かったらキャベツ男だった白川博士 −−インターネットの評価機能
こんなものも書いています。
このようなネット社会の原理を説明する文章、笑える文章を配信していきます。
メールマガジン
インターネット哲学
【ネット社会の謎を解く】 見本
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
No.001 ━━━
◇インターネット哲学【ネット社会の謎を解く】ネット哲学者 諸野脇正 ◇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
インターネット革命を考える 1
■ なぜ、インターネットではH画像が無料なのか
原理 1 インターネットとはコピーである。
原理 2 デジタル情報のコピーは、ほとんどコストがかからない。
原理 2−1 ネット上でコンテンツを販売するビジネスは、ほとんど成立し
ない。
原理 2−2 ウインドウズは、最終的には無料になる。
インターネットをどう説明するか。よくあるのは、次のような説明である。
「インターネットは網の目である。だから、核攻撃で一部が切れても、大丈夫で
ある。」
「網の目」は、確かにインターネットらしい特徴である。しかし、その特徴を
知っただけでは理解したとはいえない。もっと、根本から理解する必要がある。
根本から理解するために次の疑問を考えてみよう。
なぜ、インターネットでは、H画像が無料で見られるのか。プレイボーイを買
っても、ハスラーを買っても、お金がかかる。街を歩いていて、Hな写真を無料
でもらったという話は聞いたことがない。なぜ、インターネット上では無料なの
か。(H画像を例に挙げることに不快感を感ずる人もいるかもしれない。しかし、
学問上のことゆえ、ご寛容を願う。)
デジタルのH画像はコピー自在だからである。
アナログなものと比較して考えると分かりやすい。
〔対象〕 〔共有者数〕 〔料金〕
売春婦 一人 3万円
ストリップ 数十人 3千円
H画像 無限 無料
何人で、対象を共有しているかを考えればよい。売春婦を買うと、高くなる。
一人で対象を保有しようとするからである。これは著しい贅沢である。贅沢をす
れば料金が高くなる。
それに対して、数十人で対象を共有するストリップは、料金が安くなる。多く
の人で対象を共有しているからである。なかなかエコノミーである。
さらに、無限の人で対象を共有すれば、料金は無料になる。こう考えていただ
きたい。仮に、そのH画像を一万人の人が見たとする。そして、一人三円ずつ料
金を払ったとする。これで、3万円である。三円位のお金ならば、利用者から取
る必要はない。(実際には三円位のお金でも、利用者から取るのは難しい。)無
料にして多くの人に見てもらえばよい。そして、料金は広告から取ればいいので
ある。
以上の話がコピー自在とどう関係するのか。インターネットとは、実はコピー
である。H画像を見るとは具体的にはどういうことか。H画像のあるコンピュー
ターから自分のコンピューターに画像をコピーしているのである。(多くの場合、
電話回線を通して。)
H画像は、デジタル情報である。デジタル情報は、いくらコピーしてもコスト
はほとんどかからない。だから、無料に出来る。
読者の多くは、インターネットプロバイダーに加入しているであろう。多くの
場合、ホームページ作成の機能が既に準備されている。追加料金なしに、ホーム
ページを作れる。仮に、あなたがホームページを作ったとする。そのホームペー
ジにH画像を載せたとする。何万人の人が、そのH画像を見たとしても(コピー
したとしても)あなたにかかるコストは同じはずである。プロバイダーに払う料
金は同じはずである。
これがコピー自在ということである。
デジタル情報は、コピー自在である。コピーしてもコストは増えない。ビニ本
ならばたくさん印刷すれば、その数に応じてコストが増える。しかし、デジタル
情報ならば、いくらコピーしてもコストはほとんど増えない。
原理 1 インターネットとはコピーである。
原理 2 デジタル情報のコピーはほとんどコストがかからない。
ここまでを読んで、当たり前のことだと感じた読者もいるかもしれない。しか
し、原理を理解するとは、簡単なことではない。原理1・2を口で言えたとして
も、理解しているとは限らない。原理1・2を使って、現実を解釈できなければ
ならない。
例えば、インターネット上でコンテンツを販売しようとする人がいる。この現
実は、原理1・2を使ってどのように解釈できるか。
そのようなビジネスは、ほとんど成立しないであろう。デジタル情報のコピー
にはほとんどコストがかからないのである。同じようなコンテンツを無料で提供
するライバルが必ず出てくる。無料で提供して、広告等で儲けようとするのであ
る。
あなたが邱永漢氏であるならば話は別であるが。邱永漢氏の文章は、氏にしか
書けない。読者は、邱氏の文章を求めている。他の人の文章を読みたい訳ではな
い。だから、ライバルが出てくる心配はない。
しかし、読者のほとんどの方は、邱永漢氏ではないであろう。だとすれば、コ
ンテンツを販売することは不可能である。
原理 2−1 ネット上でコンテンツを販売するビジネスは、ほとんど成立し
ない。
5年前、ブラウザー市場でマイクロソフトはネットスケープに負けていた。ネ
ットスケープナビゲーターがシェアのほとんどを取っていた。この段階で、私は
マイクロソフトが次に打つ手を予測していた。それは〈ブラウザーを無料で配
る〉である。インターネット上でソフトを配布すれば、コストはほとんどかから
ない。消費者には無料で配り、利益は別のところから得ればよいのである。現実
に、マイクロソフトはインターネットエクスプローラーを無料で配布した。
対するネットスケープはどうすればよかったのか。もう皆さんお分かりであろ
う。ネットスケープナビゲーターを無料にすればよかったのである。これも現実
にそうなった。しかし、無料にするのが遅かった。時間がかかっている間に、イ
ンターネットエクスプローラーに大きくシェアを奪われた。即座に無料にしなく
てはいけなかった。
このような発想が出るのは、先の原理1・2を理解しているからである。原理
1・2を使って現実を解釈できているのである。
それでは、応用問題を一つ考えてみよう。
問い 無料のOSであるリナックスがシェアを伸ばしている。ウインドウズを
販売しているマイクロソフトは、どんな手を打つべきか。
答え ウインドウズを無料にする。
マイクロソフトは、最終的にはウインドウズを無料にせざるを得ないであろう。
ビル・ゲイツは馬鹿ではない。リナックスがシェアを伸ばしてくれば、当然そう
するであろう。問題は、どの程度シェアを奪われた段階でするかである。30%
か。40%か。
中国市場でリナックスがウインドウズのシェアを抜いたという報道もある。
http://www.zdnet.co.jp/news/0001/17/turbolinux.html
これはマイクロソフトにとって危機的状況である。この状況にビル・ゲイツが
どう対応するか注目しよう。観点は、〈無料にするのではないか〉である。
原理 2−2 ウインドウズは、最終的には無料になる。
このような発想が出るのも原理を腹の底から理解しているからである。
次回以降も出来るだけ明確に原理を示し、腹の底から理解できるように具体的
に説明する。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
◇ インターネット哲学 【ネット社会の謎を解く】 (週刊) ◇
【筆者】 諸野脇 正 (しょのわき ただし)
【e-Mail】 ts@irev.org
【Web Site】 http://www.irev.org/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄