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● 烏賀陽氏が朝日新聞社を辞めた理由
             −−自己・組織の概念システムを作れ

                   諸野脇 正@インターネット哲学者
                  【e-Mail】 ts@irev.org
                  【Web Site】 http://www.irev.org/
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■ 40歳で朝日新聞社を退職?
 
 烏賀陽弘道(うがやひろみち)氏が朝日新聞社を退職した。40歳という若さで早期退職した。だから、これは普通のことではない。
 なぜ、氏は退職したのか。退職せざるを得なかったのか。
 次の文章をお読みいただきたい。
 
  ●なぜ朝日新聞社を辞めたのか・その1
   http://ugaya.com/column/taisha1.html
  ●なぜ朝日新聞社を辞めたのか・その2
   http://ugaya.com/column/taisha2.html
 
 私は、この文章を、特に、若い人にお勧めしたい。
 烏賀陽氏という優れた記者・ライターが、組織の中で何を考えてどう行動したかが書いてある。そして、なぜ、朝日新聞社という組織の中で生きていけなかったかが書いてある。
 
 
■ 自己・組織の概念システム
 
 だから、この文章は、組織の中での自己を考える役に立つ。社会においては、人間は大筋で組織の中で生きるのである。それゆえ、自己・組織の概念システムを欠いてはまともに生きてはいけない。
 それは、次のようなことを内容とする概念システムである。「自分がしたいこと」・「会社がさせたいこと」・「年功序列」・「不当な評価」・「現場主義」・「前例主義」・「権力」・「既得権益」・「官僚制」・「モラルハザード」……。
 しかし、学校教育においては、著しくこの概念システムの教育が欠けている。まるで、人が一人で生きているかのような教育なのである。
 だから、若い人は、自己・組織の概念システムを自分で作らなくてはならない。組織の中での自己のあり方を考えなくてはならない。
 そのために、ぜひ、上の文章を読んでもらいたい。(また、城山三郎氏・清水一行氏の作品のような経済小説を読むことをお勧めする。)
 
 
■ 額に浮かびあがる刻印
 
 烏賀陽氏は優れたライターである。
 先の文章が、図らずもそれを示している。
 読んだ人は、その長さに驚いたであろう。しかし、驚くのは、まだ早い。烏賀陽氏は、あれではまだ書き足りないようなのだ。
 早期退職した人は多い。しかし、その理由をこれほどまでに突き詰める人はほとんどいない。
 烏賀陽氏には、自分が退職に至った理由を突き詰めようとする強い欲求がある。自分・世界を理解しようとする強い欲求がある。
 これは優れたライターに特徴的なものである。
 烏賀陽氏には書きたいことがある。しかし、朝日新聞社ではそれが活かせなかった。ライターではなく、編集者にされてしまった。だから、朝日新聞社を辞めざるを得なかったのである。
 逆に言えば、烏賀陽氏は、書きたいことがあるからこそ、朝日新聞社を辞めることが出来た。(また、自己・組織の概念システムを持っていたからこそ、辞めることが出来たのである。)
 いわば、烏賀陽氏の額には刻印があるのである。烏賀陽氏は書くことを義務づけられた人なのだ。だから、烏賀陽氏が、その額の刻印に導かれて、「人生の次の段階」に進むのは大変喜ばしいことである。フリーのライターになるのは大変喜ばしいことである。
 本誌の読者の皆さんにも、烏賀陽氏の文章を楽しんでもらいたい。
 
  ◆うがやジャーナル
   http://ugaya.com/index.html
 
 そして、出来れば、烏賀陽氏の新しい出発を私と一緒に祝ってもらいたい。
 
 
                     (2003年7月6日)
 

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 ◆インターネット哲学【ネット社会の謎を解く】◆ 40号掲載
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   http://www.irev.org/file/touroku.htm
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【議論に勝つ原則 1】 対等の感覚を持て