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正の闘う哲学」 で
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【オリコン訴訟2】
● インターネットはオリコンを倒せるか
諸野脇 正@インターネット哲学者
【e-Mail】 ts@irev.org
【Web Site】 http://www.irev.org/
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■ 東京地裁が〈ジャーナリズムなど消えてしまえ〉判決
オリコン訴訟で地裁判決が出た。
烏賀陽弘道氏はオリコンに百万円を支払え。
烏賀陽氏側の反訴は棄却する。
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烏賀陽氏敗訴である。誠に異常な判決である。
だから、ブログで次の批判を書いた。
● 東京地裁が〈ジャーナリズムなど消えてしまえ〉判決を出す
この判決は次の事実を示した。
電話取材を受けコメントしただけで、訴訟を起こされ数百万円のお金を取られる可能性がある。また、出版社を訴えず、コメントした人だけを訴えてもよい。
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これでは取材に答える人はいなくなる。つまり、ジャーナリズムが成立しなくなる。東京地裁判決は〈ジャーナリズムなど消えてしまえ〉判決なのである。
■ 虚偽だらけの論法でSLAPP(恫喝訴訟)を容認
東京地裁判決はSLAPP(恫喝訴訟)を認める判断を下している。つまり、オリコンが個人だけを狙い撃ちにして、高額訴訟を起こしたことを認めている。
しかも、その論法は虚偽だらけである。
次の文章で批判した。
● 東京地裁・綿引穣裁判長のSLAPP(恫喝訴訟)容認論の虚偽
綿引穣判決は虚偽だらけなのである。
■ 日本初のインターネット裁判
綿引穣判決の虚偽はこれから徹底的に批判する。
しかし、この文章では別の論点を論ずる。次の論点である。
この裁判の特徴は〈個人が初めて本格的にインターネットを使って裁判を闘っている〉ことである。この裁判は〈日本初のインターネット裁判〉なのである。
■ 水際だった烏賀陽氏のインターネット活用
烏賀陽氏は見事にインターネットを活用している。
まず、SOSをメールで発信した。
● 「オリコン」が烏賀陽個人を被告に5000万円の損害賠償訴訟
このメールに呼応して多くのネットワーカーがオリコン批判の論陣を張った。
私も次の文章を書いた。
● ジャーナリスト個人を対象にした高額訴訟の不当性
−−反SLAPPの論理
さまざまな団体からオリコンの訴訟を危惧する声明も発表された。
● 国境なき記者団(フランスのNGO)の声明
● 出版社の社長57名の連名の声明
● 出版労連の声明
支援団体も出来た。
● オリコン個人提訴事件を憂慮し、烏賀陽弘道氏を支援するカンパ活動
SLAPP(恫喝訴訟)という概念も知られるようになった。
● SLAPP WATCH
現在、烏賀陽氏はYouTubeを使って、オリコン訴訟の不当性を訴えている。
● うがやテレビ
烏賀陽氏は、ただの孤立した個人ではなかった。
世界と繋がっているネットワーカーだったのである。
■ 武富士が名誉毀損訴訟で負けたのは内部告発があったから
インターネット上では、烏賀陽氏は圧倒的にオリコンに勝っている。
しかし、東京地裁では負けてしまった。
これには、いろいろな要因がある。しかし、一つ言えるのは、名誉毀損訴訟に勝つことが非常に難しいことである。名誉毀損訴訟におけるメディア側の勝訴率は3割を切っているのだ。
武富士がSLAPP(恫喝訴訟)を起こしたことがある。この時、武富士は、ほとんど訴訟に勝ちそうだったのである。言いがかりをつけるだけの滅茶苦茶な訴訟だったのにも関わらずである。
それでは、なぜ、武富士は負けたのか。内部告発があったからである。内部告発によって、盗聴事件が発覚したからである。社長の命令でジャーナリストの家を盗聴していたことがばれてしまったからである。
内部告発が無ければ、武富士が勝っていた可能性もあったのだ。(注1)
■ オリコンの内部告発をインターネットは引き出せるか
この訴訟についての私の第一感は次の通りであった。
オリコンはそんなにきれいな企業なのか。
オリコンのチャートはそんなに正確なのか。
そうでは無いだろう。だとすれば、やぶ蛇になるだろう。
訴訟を続ければ続けるほど、オリコンにとって都合の悪い情報が出てくるだろう。
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この第一感は大筋で正しかった。
例えば、次のような情報が出てきた。
● 元オリコン編集長が語る 「創業期はランキング操作をしていた」
● オリコン訴訟問題について音楽業界関係者に取材しました
● オリコンランキングは嘘だらけ
「予約枚数もカウント」店長証言
● オリコン集計担当者、Jポップチャート順位の"でっちあげ"を告白
● ソニーME元社長が証言 オリコンのチャート操作、働きかけ日常化
これらを読むと、オリコンのチャートが疑わしく思われてくる。だんだん、オリコンが黒であると思われてくる。
だから、訴訟を続ければ続けるほど、逆効果なのである。オリコンにとって都合の悪い情報が次々と出てくるからである。
■ オリコンはインターネットに対する脅威
この闘いは、「オリコン対言論」の闘いである。
しかし、別の側面もある。
これは「オリコン対インターネット」の闘いなのである。
インターネットは内部告発を引き出すことが出来るか。オリコンを倒すことが出来るか。
そこで、呼びかけである。(笑)
あなたの周りにオリコンの社員の方はいませんか。
オリコンを辞めた方はいませんか。
内部告発、お待ちしています。
レコード会社の方、販売店の方はいませんか。
内部告発、お待ちしています。
(『MyNewsJapan』が内部告発を募集中です。Email:info@mynewsjapan.com)
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オリコンの行為は、インターネットにとっても脅威である。
個人を狙い打ちにした訴訟が認められれば、同様の手法でブロガーを訴えることができる。全てのブロガーを狙い撃ちにした訴訟が可能になってしまうのである。この点については、次の横山哲也氏の文章が論じている。(注2)
● ブログのリスク
オリコンの行為は、インターネットに対する脅威である。
だから、インターネットはオリコンを倒さなくてはいけない。
そして、インターネットはオリコンを倒せるはずなのである。
(2008.5.31.)
(注1)
武富士の訴訟の実体については、次の本が分かり易かった。
北健一『武富士 対 言論』花伝社
(注2)
横山哲也氏には、私の文章を引用いただいた。
感謝申し上げる。(あの。「諸野」ではなく「諸野脇」です。笑)
〔追記 早速ご訂正いただき、ありがとうございました。〕
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◆インターネット哲学【ネット社会の謎を解く】◆ 63号掲載
【筆者】 諸野脇 正 (しょのわき ただし)
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